おはこんばんちは!
元銀行員、ゆきこです。
今回のタイトルは、友人から相談された内容です。
奥様と2人のお子さんを養う一家の大黒柱の友人は、住宅ローンも支払いの真っ最中。
そんな中でも、毎月すこしだけ自分で使えるお金があるので、銀行に相談へ行ったそうです。
そこで外貨預金や投資信託などさまざまな運用商品をを勧められたそうです。
そして、そのあとに私に相談に来てくれました。
元銀行員の私によるリアルな助言です。
「ほんとうに良いものとは限らない」
私の経験、上司/支店長からの指令とは
銀行は「株式会社」
銀行って、株式会社なんですよ。
(地銀は前株が多い印象ですね。)
つまりどういうことかというと…
収益を上げなければなりません。
以前、運用を始める最初の記事で書きましたが、定期預金の金利が低すぎて、金融機関は利ザヤだけでは十分な収益を得ることができません。
今でこそカードローンの高い金利で気軽にお金を貸すことが出来ていますが、事業性ローン、マイカーローン、フラット35等の住宅ローンも低金利が続いています。
したがって銀行は、外貨預金の外国為替手数料をはじめ、投資信託の販売手数料、生命保険の代理店販売手数料等、金利以外の部分から収入を得る必要があるのです。
実際に営業で売っていたものとは
私が銀行員だった頃は、銀行が取るのことのできる手数料や収益率が高い商品を勧めていました。
いちばん収益率が高かった商品は、具体的には外貨建て一時払い終身保険です。
簡単に言ってしまうと、 外貨預金と一時払い終身保険がくっついた商品です。
一般的な一時払い終身保険の(死亡保険金、ある一定期間まで保有していると解約返戻金が増える)仕組みで、
それに加えてさらに外貨の金利(日本よりも高い)と為替レートが絡んでくる商品でした。
外貨建てでなければ、一時払い終身保険のリスクはかなり低いものですので、じつは営業側からするととても売りやすい商品なのです。
日本円建ての一時払い終身保険がマイナスになる場合というのは、
・早く解約してしまった場合
・生命保険会社が倒産してしまった場合
が考えられます。
ある一定期間まで保有すれば解約返戻金が増えるということはつまり、 早く解約してしまった場合、 (一定期間内に解約してしまった場合)元本割れを起こすということです。
そして生命保険会社が倒産してしまった場合、これは起こってほしくないリスクです。
ただ、契約はすべてなかったことになる、
というわけではありません。
契約者を守るために、預金に似た保険制度が生命保険にもあります。
「生命保険契約者保護機構」により、一定の契約者が保護されるのです。
生命保険会社が倒産してしまった際の措置として、倒産した会社を助けてくれる(保険契約を引き継いでくれる)保険会社が出てこなかった場合は契約内容が不利になる可能性があります。
このふたつは、加入の際にしっかりと確認すれば回避できるリスクです。
さて、外貨建て一時払い終身保険の話に戻します。
外貨建ては、さらに金利と為替レートが絡んでくる商品です。
為替レートをしっかり確認していて円高(円安)を理解していらっしゃる方には、この商品はたいへん魅力的だと思います。
(実際に自分で書いていて、余裕資金があればこんな一時払い終身保険に加入したいと思い始めたくらいです。)
加入時よりも為替レートが円安(外貨高)方向に動いていれば、日本円に戻して生活資金に充て始めたり、さらに別の商品に運用替えすることもできます。
(為替レートが加入時よりも下落していたとしても、生命保険の増額分と外貨の金利で、ある程度カバーできるというのが営業文句でした。)
しかし、それ以上に為替レートが下落していたらマイナスです。
これが外貨建てのリスクです。
当時、わたしからの営業でこの商品を買ったお客様たちはみんなほくほくしていることでしょう。
(民主党政権下の超株安時代でしたから。)
銀行員のおすすめ商品ウソ/ホント
銀行員や金融機関の営業さんが真っ先に勧める商品は、「その時期に営業を注力したい商品」だと思います。
したがって、営業トークをひととおり最後まで聞くことをお勧めします。
なぜ?ご説明します。
例えば…
日本円建ての一時払い終身保険は、基本的に最初には提案されません。
一時払い終身保険は、その名のとおり「終身」もしくは長期間保有することを想定した保険であり、「備える資産」と言われています。
一般的に一時払い終身保険は余裕資金で保険に加入されると思います。
死亡保険金受取人欄には配偶者や資産を残したいお子様・お孫様のお名前を書いて、「備える資産」として保有されるのです。
日本の預金利率では満足できない、でも投資信託などで運用して大きく資産を減らしたくないという考えで、老後に「備える資産」としてこつこつと増やす目的の方ももちろんいらっしゃるでしょう。
前の項目で、特に日本円建ての一時払い終身保険はリスクが抑えられるので、営業としてはたいへん売りやすい商品であるとご説明しました。
しかし営業側からすると営業しやすい反面、
いざというときに備える資産
一定期間は手を付けない資産
運用替え(投資信託への乗り換えなど)が効かない厄介な商品です。
銀行員は銀行の収益をあげるために、投資信託を利益確定させ(ときには損切りさせ)、別の投資信託に乗り換えさせたいので、投資信託を売りたいと思うものです。
なので、ふつう生命保険は最後の落としどころで使います。
・預金だと資産が増えないですよね。 ・円安になったとき、円しか持っていないことはリスクです。 ・外貨預金(外貨建て終身保険)を始めましょう。 ・為替リスクが不安なら、日本の投資信託を始めましょう。 ・株式投資信託だと値動きが大きいですね。 ・では、債券投資信託にしましょう。 ・それでも元本割れが不安なら、一時払い終身保険はどうですか。
こんな感じの営業トークを研修で同期と読みあった記憶があります。
わたしが営業のころは外貨建て一時払い終身保険の収益率が高かったので契約数を増やすようにしろと、上司から指令が出たのです。
支店長は、「どんな手を使ってでも投資信託・保険を売ってこい!」という超営業特化型の人でした。
どんな手を使ってでも!
そして、人はなぜか、順位を付けられると競いたくなるもので、「どんな手を使ってでも」が発動されやすくなります。
本部は全国の支店で競わせることで、収益を上げさせようとしていました。
これは憶測ですが、そういう収益重視の姿勢を続けた結果、かんぽ生命は件の不祥事にもつながってしまったのだと思います。
順位によって賞与も大きく変わってくるので、当然の動機ですね。
(もちろん、営業マン全員がそのような人たちではありませんよ。)
ただ、営業トークをひととおり聞いてみて、落としどころまで待つことは「本当のおすすめ商品」を見分けるひとつの手段です。
銀行員からの助言を受けた友人のその後
スロットを打ちに行っていました。
(そのような選択肢は与えていません。)
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